LOVE WARS / 松任谷由実

前作に引き続きシンプルな詞と表層の良さを抽出したようなメロとSynclavierによるドッカンバッコンしたアレンジが全編支配するアルバム。アルバムとしての印象も前作と全く変わらず、いい感じに作り込まれてはいるんだけどこの息苦しさはやはりバブルっぽく…

Delight Slight Light KISS / 松任谷由実

前作に引き続きSynclavierを多用したアルバム。そんなわけでサウンドの質感は全く変わらないんだけど、メロや歌詞がそれまでと結構雰囲気が異なり、メロは以前のようなドキャッチーさやポップさはあまり見えずオケに埋もれている印象で、歌詞も比較的シンプ…

ダイアモンドダストが消えぬまに / 松任谷由実

徐々に打ち込みの割合が増えていたがここでSynclavierという今でいうDAWに近いものが導入され、一気に打ち込み全開の音色になった。Synclavierは全体的に固い音が特徴的で、特にドラム系の音色にその個性が出まくっている。機械的なドラムの音色とユーミンの…

ALARM à la mode / 松任谷由実

夫妻の結婚10周年の日に発売されたアルバム。ここ数作ほど2-3曲はベスト収録常連になるような有名曲があったが、今作は有名曲が一切ない。確かにここ数作にあったような大名曲はないかもしれないがどれもポップでキャッチーな佳曲揃いといった印象で、1曲も…

DA・DI・DA / 松任谷由実

タイトルが示す通り特にテーマらしいテーマはないようであるが、要所で「もう愛は始まらない」「たとえあなたが去って行っても」のような強めのバンドサウンドや歌詞があるため強い女性像みたいなのを印象付けられる。とはいえそれ以外は通常営業の楽曲が並…

NO SIDE / 松任谷由実

前作に引き続き絶好調を維持といった感じの高品質ポップス集。「REINCARNATION」同様にアップテンポとバラードのバランスが非常に良く、最後まで聴いてて飽きない。というかもうここらへんの時期はどれもアベレージ高くて書くことないんだけど、このアベレー…

VOYAGER / 松任谷由実

タイトルから連想される通り航海や宇宙がテーマのアルバム。以前より海をテーマにした名曲が多かったこともあり、今作も大海を思わせる「青い船で」「TROPIC OF CAPRICORN」のような曲はあるが、直接関係ないような曲も多くあり、ユーミン節炸裂の名曲「ダン…

REINCARNATION / 松任谷由実

タイトル通り輪廻転生がテーマ。とはいえ実際にそのようなテーマに近い曲はタイトル曲を除くと同じく超常現象が歌われる「ESPER」と時の移り変わりを表現した「経る時」くらいで、それ以外は前作のようなF1層に向けた曲や、シティポップ風味、はたまた荒井時…

PEARL PIERCE / 松任谷由実

前作に続いて超オシャレなシティポップ路線。前作は安定感はありつつも少々シックな部分もあったけどこのアルバムは「都会のOL」がテーマとのことで、後のOL路線の先取りになったこともあり大分聞きやすくなったように思える。第二次ブームを迎えた1981年~S…

昨晩お会いしましょう / 松任谷由実

松任谷姓になってからしばらくシングルヒットがなくアルバムの内容も試行錯誤が続いたが、「守ってあげたい」が大ヒットしたことで自信を取り戻したのか、安心安定シティポップ路線が全面に押し出されている。全体に漂うアーバンな雰囲気は松任谷姓になって…

水の中のASIAへ / 松任谷由実

アジアをテーマにした企画盤で、当時は12インチEPで発売された。企画盤という扱いではあるが、独特の美メロと絵画的な歌詞は荒井時代にも見られる雰囲気で(「HONG KONG NIGHT SIGHT」は正隆さんの曲のカバーらしいけどアルバムの中で全く違和感なく溶け込ん…

SURF & SNOW / 松任谷由実

前作の最も暗いアルバムから一転して最も明るいアルバム。「COBALT HOUR」や「流線形 '80」にあったリゾートミュージック路線を思いっきり推し進めており、当時はそこまで売れたわけでもないようだが、後に映画等に楽曲が使用されたことで知名度を上げ、特に…

時のないホテル / 松任谷由実

ユーミンの数あるアルバムの中でダントツに暗いアルバム。1曲1曲、様々な境遇に置かれている主人公をきっちり最初から最後まで描写しており、まるで短編映画集でも見ている気分になる。特に表題曲や「Miss Lonely」「コンパートメント」あたりの要所要所の曲…

悲しいほどお天気 / 松任谷由実

またまた路線が変わったが、落ち着いたバンドサウンドとポップなメロ、そして私小説的な歌詞が中心という荒井時代を彷彿とさせる雰囲気で、コアなファンの間では人気の高い作品らしい。確かにここ数作のめまぐるしい作風の変化を踏まえて聴くと荒井時代に回…

OLIVE / 松任谷由実

前作の流れで聴くとまた雰囲気が全然違って衝撃を受けるアルバム。松任谷名義になってから第二次ブームを迎えるあたり(1981年くらいまで)は1作ごとに作風がガラリと変わり、当時の試行錯誤が伺える。 今作は比較的歌謡曲色が強いのが特徴で、「未来は霧の中…

流線形 '80 / 松任谷由実

前作の流れで聴くとポップな曲大連発で面食らう1作。とはいえこれは「紅雀」の次に聴いているからで、例えばこれが「COBALT HOUR」や「14番目の月」の次の作品と言われたら納得、といった感じのクオリティの高いポップスアルバム。冬のリゾートを歌った明る…

紅雀 / 松任谷由実

改姓後初のアルバム。前2作で推し進めていたポップ路線をばっさりと捨て去って、特に前半にラテン風や南米風のワールドミュージックの匂いが漂う曲が多め。しかしワールドミュージックといっても派手なものはほぼなく、全曲ミディアム~バラード系の淡々とし…

14番目の月 / 荒井由実

前作で一歩踏み出したポップ路線に更に舵を切り、ポップシンガーとしての荒井由実の完成形となったアルバム。直後に正隆さんと結婚し、以降は松任谷名義での活動となるが、そこからOL路線に行き着くまでは試行錯誤を繰り返すので、初期のテイストを残した最…

COBALT HOUR / 荒井由実

前2作と制作陣そのものは変わっていないが、ここで一気にアレンジが豪華になり、それに合わせてかメロディもポップなのが増え、歌詞世界もフィクション中心のものにガラッと変化した。特にアレンジに関してはクレジットに正隆さん単独の編曲表記が入ったよう…

MISSLIM / 荒井由実

前作に引き続いてユーミンの卓越したソングライティング能力とティン・パン・アレーによる温度低い演奏が楽しめるが、純粋に歌詞もメロディもアレンジも前作より洗練された結果、2枚目にしていきなり最高傑作が爆誕してしまった。それほど今作は曲のアベレー…

ひこうき雲 / 荒井由実

デビュー作にして後のJ-POPの礎を築いてしまった名盤の1つ。1973年当時の日本の大衆音楽となると演歌や歌謡曲、あってもフォークという時代に今のJ-POPとして聞いても全く違和感のない楽曲群はとんでもない衝撃。当時聞いた人はどんな衝撃を受けたんだろうか…