LOVE WARS / 松任谷由実

前作に引き続きシンプルな詞と表層の良さを抽出したようなメロとSynclavierによるドッカンバッコンしたアレンジが全編支配するアルバム。アルバムとしての印象も前作と全く変わらず、いい感じに作り込まれてはいるんだけどこの息苦しさはやはりバブルっぽく、アルバムトータルで聴くのは前作同様かなりしんどい。「SURF & SNOW」「Delight Slight Light KISS」と並んで聴くことを放棄してしまったアルバムの1つで、2連続で合わないアルバムが続いてしまったこともありここらへんで聴くのやめようかなと思ったら……(次回作に続く)。

最初の3曲なんかはどれもメチャクチャ完成度が高くて、実際メロだけ見ればポップな質感の「Valentine's RADIO」や全体的に格好良い印象の「WANDERERS」、漲る自信を感じる表題曲とかもあるんだけど、どうにも独特の音色と噛み合っていないかのようなもどかしさを感じる部分もある。正隆さんも当時のSynclavierの音作りには満足がいっていなかったとのことで、確かにこのあたりは正直もうちょっと違う音で聴いてみたい。総じて、音の印象が全てを支配してしまい曲そのものやアルバムトータルとしての持ち味があまり入ってこない。リアレンジアルバムとか出ないかな...。

おすすめ曲

ANNIVERSARY

おすすめするような曲が思い浮かばないので消去法で超有名曲のこれ(笑)。後のJ-POPに繋がるような要素全開のバラードで、ユーミンが時代の先を行く人であったことがよく分かる。

曲名通り、結婚をテーマにした歌詞ではあるけど単に幸せな曲ではなく、死別までしっかり描ききっているあたりはやはりユーミンらしい。