ALARM à la mode / 松任谷由実

夫妻の結婚10周年の日に発売されたアルバム。ここ数作ほど2-3曲はベスト収録常連になるような有名曲があったが、今作は有名曲が一切ない。確かにここ数作にあったような大名曲はないかもしれないがどれもポップでキャッチーな佳曲揃いといった印象で、1曲も知らなくても十分に楽しめる。歌詞に緻密な情景描写多めで曲を聴きながらでも情景が思い浮かぶところも楽しめる要因の1つになっている。

適度にポップなメロにしっかり曲の雰囲気を作り上げるアレンジというのはずっと変わらないが、今作に関しては打ち込み系の音色の割合が大分増えてきており、一気にバブル化する次回作以降の伏線と言えるかも。

おすすめ曲

Holiday in Acapulco

飛行機のSEから始まるタイトル通りメキシコのアカプルコをテーマにした曲。リゾート系の曲も度々出てきているが気づけばわりと頻度高かったのはこのあたりまでかもしれない。

とにかくポップかつキャッチーなメロが印象的な曲で、特にサビのフレーズ終わりを全部「hum」にしちゃうのがインパクト大。こういうメロで字余りを解消するために全編関係ないフェイク入れちゃうのは聴いたことないかも。

白い服、白い靴

幼馴染と会う約束をして白い服と白い靴で行こうとしたけど雨が降っていて汚れるのが嫌なので予定をキャンセルした、というユニークな歌詞も印象的ではあるが、3連符のゆったりとしたメロがスローテンポなのにやたらとキャッチーで作曲家としての凄みを感じる1曲。こういう曲でも地味な印象に終わらないあたりがこの時期の絶好調を象徴しているような。

土曜日は大キライ

ここらへのイントロを聞いてると大分「あ~大分打ち込み寄りになったな~」と思わせられる。この曲もシンセが目立つ派手な打ち込みアレンジの影響もあってサビのキャッチーさが際立っている。

20 minutes

アルバム内だと一番好きな曲。恋人を20分も待っていたら偶然その場にいた幼馴染に声をかけられたという内容で、やはりこのあたりの丁寧な情景描写は流石というかなんというか。

ドキャッチーなメロに打ち込み寄りの丁寧なアレンジと相変わらず期待を裏切らないが、特に中盤のド派手なオケヒは笑ってしまう。でも面白いから良し。