NO SIDE / 松任谷由実

前作に引き続き絶好調を維持といった感じの高品質ポップス集。「REINCARNATION」同様にアップテンポとバラードのバランスが非常に良く、最後まで聴いてて飽きない。というかもうここらへんの時期はどれもアベレージ高くて書くことないんだけど、このアベレージを数年に渡って維持したのは冗談抜きに邦楽ポップス史における奇跡の1つだと思う。

あと今作はベストに入った有名曲が「ノーサイド」「DOWNTOWN BOY」「BLIZZARD」と続くのでなんとなく聴いてみようくらいの感覚でも入りやすいんじゃないかと。個人的にも「REINCARNATION」「ダイアモンドダストが消えぬまに」あたりと並んで80年代で1,2を争うほど好き。

おすすめ曲

SALAAM MOUSSON SALAAM AFRIQUE

曲名は「サラーム モンスーン サラーム アフリーク」と読むらしい。アフリカをテーマとした曲で、荒井時代に「アフリカに行きたい」という曲があったが、そこから数年後本当にアフリカに行った体験を描いているとか。これまで出てきた曲で最も壮大なアレンジで、そんな大げさなアレンジで「天は大地にそそぎ」「私はうでをひろげ世界抱きしめる」とか歌っている内容まで宗教ちっくになってて、宇宙人みたいなユーミンのボーカルも相まってちょっと怖い(笑)。でもこれだけの内容を歌ってサマになってしまうところがユーミンというか。他にこの内容を歌える人、中島みゆきさんくらいしかいない気がする。

ノーサイド

超がつくほどの有名曲のうちの1つで、ベストにもいつも入るわ紅白で歌ったことあるわで特に説明不要だと思うけどユーミン全体でも相当上位に食い込むと思われる大名曲。曲名通りラグビーをテーマとしており、これも何度言ってるか分からないが、細かな情景の切り取り方が本当に素晴らしい。この情景の切り取りをバラードで歌い上げることで情景がスローモーションで流れているかのようなイメージが出来ており、こんな曲を書ける人はそうそういないのではないかと思わされる。

書くこと丸被りなのであえてピンポイントで取り上げないけど同じくラグビーを取り上げた「〜ノーサイド・夏〜空耳のホイッスル」も大名曲で、「空翔けるボールは埃りの中の日食」は名フレーズ。

BLIZZARD

これまた超有名曲。というか、ジブリに起用された曲とか90年代の3大ミリオンヒットとか「恋人がサンタクロース」とかに次ぐくらいの知名度はありそう。雪景色を表現した曲で、辺り一面に雪が広がっているかのような幻想的なピアノアレンジは神業としか言いのようのない、完璧な1曲。

破れた恋の繕し方教えます

曲名の「繕し」は「なおし」と読む。一瞬C-C-Bかと思ってしまう時代を感じる打ち込みのイントロや異様な程にチープなシンセの音にびっくりしてしまうが、曲そのものは「離れた彼の心を取り戻すために呪文を唱える」というわりとスピリチュアルな部分が出ているユーミンらしい内容で、歌詞のオリジナリティも相まってとてもキャッチー。

あとこの曲が特に目立つけどこのアルバムは「ノーサイド」や「BLIZZARD」もやたらとスラップベースが主張しまくっており、演奏も聴いてて楽しめる(Louis Johnsonという有名なベーシストらしい)。

SHANGRILAをめざせ

後のショー形式のド派手なライブ「YUMING SPECTACLE SHANGRILA」のテーマ曲(?)という扱いになったこともありユーミンファンの中では比較的知名度が高いと思われる。「REINCARNATION」のアルバム群にあったような派手なアップテンポで、劇伴音楽かのようなストリングスが際立っている。ゆったりした曲が多いB面の中では一際印象的。