DA・DI・DA / 松任谷由実

タイトルが示す通り特にテーマらしいテーマはないようであるが、要所で「もう愛は始まらない」「たとえあなたが去って行っても」のような強めのバンドサウンドや歌詞があるため強い女性像みたいなのを印象付けられる。とはいえそれ以外は通常営業の楽曲が並んでいて今回もいつも通りの高品質高値安定のユーミン節全開のアルバムといった感じ。

サウンド面は前作から徐々に打ち込み寄りになってきており、「SUGAR TOWNはさよならの町」の打ち込みベースや「シンデラ・エクスプレス」のエレピの音色、「たとえあなたが去って行っても」のシンセサウンドが印象的。とはいえまだ生音主体であるため以前の流れで聴いてもそこまで違和感は少ない。

おすすめ曲

もう愛は始まらない

アルバムタイトルである「DA・DI・DA」が歌詞に出てくるリード曲。ユーミンにしてはかなり激しめのギターサウンドであるが、これまでのギターサウンドが際立つ曲にどことなくあったダサさが全くない。これもうちょっと有名曲になっていればこのあと色々と違ったかもしれない。

全体的に演奏の激しさが目立つが、その中でもドラムのヤバいくらいズレているフィルが印象的(笑)。これも林さんの演奏なんだろうか?(この辺りまでは参加していたみたいだけど)

BABYLON

ドキャッチーな楽曲が並ぶこのアルバムだと一番ゆったりした曲かも。都会の朝の静けさを表した歌詞世界と幻想的なアレンジが素晴らしい曲で、OLイメージ以前のユーミンが好きな人の期待に応える。

シンデレラ・エクスプレス

後に東海道新幹線のCMソングに起用されたことで一気に知名度を上げた代表曲の1つ。CMの内容同様に遠距離恋愛カップルが最終電車を見送るという歌詞で、こういう場面の切り取り方が本当に巧い。

青春のリグレット

代表曲の1つで、ユーミン全曲でもTOP10に入るくらいには好きな曲。ユーミン節全開のドキャッチーなメロディと歌詞、そして曲の良さを丁寧に封じ込めたアレンジとどれを取っても完璧。音源でも素晴らしい1曲だけどライブ映像で見たときの方がパワーがあってめっちゃアガるのでYouTubeとかで見るがよろし。バブル期に入る前のユーミンの商業ポップスはここらへんで完成を見たのかもしれない。