DAWN PURPLE / 松任谷由実
前作「天国のドア」に引き続き脱バブル進行中といったイメージのアルバムで、それでも前作はSynclavierの多用は相変わらずだったが、今作に関しては明確に生音も増えてきている。また、打ち込みの曲に関しても「Happy Birthday to You」や「千一夜物語」のように必要以上に派手すぎないアレンジになっていてかなり聴きやすい。
相変わらず売上は大変なことになっており(今作は初の初動ミリオンを達成したアルバムらしい)、いまいち音楽に関する評判が見えにくいところがあるが、前作同様にアルバムとしての完成度は相当高いと思う。個人的にも前作に引き続きサウンド面がかなり好印象で好きなアルバムの1つ。
おすすめ曲
Happy Birthday to You〜ヴィーナスの誕生
ベストにも入っている有名曲。パッと聞きだとバブルに戻ったかのような雰囲気はあるが、バブル期にはあまりなかったような純粋に聞きやすいメロディかつあまりケバケバしくないアレンジで安心して聴ける。歌詞もよくよく見てみると誕生がテーマであり、単にバブリーという感じとはまた違う。また違うフィールドに立ったかのような名曲の1つ。
DAWN PURPLE
タイトル曲。広大な大地をイメージしているかのような馬鹿みたいにスケールのでかいメロとアレンジは「SALAAM MOUSSON SALAAM AFRIQUE」のようで、これも好きな曲。ていうか今気づいたけどユーミンのワールド色強めの曲に外れないと思う。
誰かがあなたを探してる
中盤のこれまたやたらとクオリティの高いコーラスアレンジもとても印象深いが、何よりも1991年時点でコンピュータとインターネットをテーマにした歌詞が斬新すぎる曲。ここらへんの時代の先読みっぷりは相変わらず凄い先見の明。ただ、1991年の曲に突っ込むことではないけどマウスは叩くものじゃない(笑)。
9月の蝉しぐれ
アルバムをしっとりと締めくくる曲。詞も曲も相当にシンプルかつ短く、その分「大人になるっていうのはもう平気になる心」というド直球な歌詞が響く。