松任谷由実 / 荒井由実

時のないホテル / 松任谷由実

ユーミンの数あるアルバムの中でダントツに暗いアルバム。1曲1曲、様々な境遇に置かれている主人公をきっちり最初から最後まで描写しており、まるで短編映画集でも見ている気分になる。特に表題曲や「Miss Lonely」「コンパートメント」あたりの要所要所の曲…

悲しいほどお天気 / 松任谷由実

またまた路線が変わったが、落ち着いたバンドサウンドとポップなメロ、そして私小説的な歌詞が中心という荒井時代を彷彿とさせる雰囲気で、コアなファンの間では人気の高い作品らしい。確かにここ数作のめまぐるしい作風の変化を踏まえて聴くと荒井時代に回…

OLIVE / 松任谷由実

前作の流れで聴くとまた雰囲気が全然違って衝撃を受けるアルバム。松任谷名義になってから第二次ブームを迎えるあたり(1981年くらいまで)は1作ごとに作風がガラリと変わり、当時の試行錯誤が伺える。 今作は比較的歌謡曲色が強いのが特徴で、「未来は霧の中…

流線形 '80 / 松任谷由実

前作の流れで聴くとポップな曲大連発で面食らう1作。とはいえこれは「紅雀」の次に聴いているからで、例えばこれが「COBALT HOUR」や「14番目の月」の次の作品と言われたら納得、といった感じのクオリティの高いポップスアルバム。冬のリゾートを歌った明る…

紅雀 / 松任谷由実

改姓後初のアルバム。前2作で推し進めていたポップ路線をばっさりと捨て去って、特に前半にラテン風や南米風のワールドミュージックの匂いが漂う曲が多め。しかしワールドミュージックといっても派手なものはほぼなく、全曲ミディアム~バラード系の淡々とし…

14番目の月 / 荒井由実

前作で一歩踏み出したポップ路線に更に舵を切り、ポップシンガーとしての荒井由実の完成形となったアルバム。直後に正隆さんと結婚し、以降は松任谷名義での活動となるが、そこからOL路線に行き着くまでは試行錯誤を繰り返すので、初期のテイストを残した最…

COBALT HOUR / 荒井由実

前2作と制作陣そのものは変わっていないが、ここで一気にアレンジが豪華になり、それに合わせてかメロディもポップなのが増え、歌詞世界もフィクション中心のものにガラッと変化した。特にアレンジに関してはクレジットに正隆さん単独の編曲表記が入ったよう…

MISSLIM / 荒井由実

前作に引き続いてユーミンの卓越したソングライティング能力とティン・パン・アレーによる温度低い演奏が楽しめるが、純粋に歌詞もメロディもアレンジも前作より洗練された結果、2枚目にしていきなり最高傑作が爆誕してしまった。それほど今作は曲のアベレー…

ひこうき雲 / 荒井由実

デビュー作にして後のJ-POPの礎を築いてしまった名盤の1つ。1973年当時の日本の大衆音楽となると演歌や歌謡曲、あってもフォークという時代に今のJ-POPとして聞いても全く違和感のない楽曲群はとんでもない衝撃。当時聞いた人はどんな衝撃を受けたんだろうか…