KATHMANDU / 松任谷由実

これまでも度々出てきたワールドミュージック色が全面に出たアルバム。ネパールの首都を意味するタイトル曲やアンデス風味の「Take me home」、インドっぽさが漂う「命の花」、ヨーロピアンな香り漂う「輪舞曲」、和風全開な「Weaver of Love」等が特にそのイメージを助長しているが、それ以外は従来の安心安定のユーミンらしいシティポップ系の楽曲中心で、前作が力作だったこともあり今回は安心感の方が強い。90年代入ってからは明らかに気合の入った「天国のドア」「THE DANCING SUN」以外は打率3割程度のアルバムが続いており、今回もそんな感じ。

今作をもって1983年から13年(!)も続いていた年末発売が終わる、8年連続ミリオン(!!)が今作で終わる等、色々と節目になる時期ではあるが、楽曲的にはまだまだ楽しめそう。

おすすめ曲

KATHMANDU

「自由への翼」あたりを思わせるアルバムの掴みとしてバッチリな佳曲。安易に8小節で展開しないメロディやそれに伴うキャッチーさは作曲家としてまだまだいけることを感じさせる。曲の雰囲気を的確に表現したアレンジも好印象。

命の花

謡曲風味のメロディ+インドっぽさがほのかに漂うアレンジ+死をも厭わない愛を歌うという強烈なコンボで嫌でも印象に残る曲。元々ドラマタイアップ曲でシングルで発売予定であったが同時期に発生した阪神淡路大震災に配慮し発売中止になったという曰く付きの曲でもある。確かにシングルで出そうとしていたことはあるなというくらいに強烈な1曲で、徐々に妖しい感じになってきたボーカルもあり何か憑いているかのよう。このアルバムで一番好きな曲。

輪舞曲(ロンド)

先行シングル。前作までの連続ミリオンから一気に半分程度に落ち着いたが、これまでが凄すぎただけでこれも純粋に名曲。ヨーロッパの舞踏会を思わせる楽曲で、ちょくちょく入る3連符のメロディや、随所で存在感を発揮するアコギやオケヒ等の楽器もバッチリはまっている。